光パラメトリック過程は、その波長変換機能、増幅作用、パルス幅ナローイング効果によって広帯域波長可変短パルス光源を得る手段として有望である。しかしながらその諸特性の起源や伝搬過程については十分には解明されていなかった。光パラメトリック伝搬過程の解析を行う為には、上に示した非線形伝搬方程式を解くことが必要になってくる。電場がcw平面波で記述できポンプ光の減少が無視できる場合の利得はGで示したような良く知られた解析解が得られるが、実際の短パルス光をポンプ光として用いた場合の利得を求めるには、パルス波形、群速度差、空間モード形状、ウォークオフ、エネルギー変換に基づく相互作用光の減少の効果が大きな影響を及ぼす為にこれらを無視することはできず、上記の非線形伝搬方程式を数値計算等を用いて厳密に解く必要がある。しかしながら、従来の解析はいずれも、空間モード形状及びウォークオフもしくは時間波形及び群速度差のどちらかを無視したものであり、計算の困難さから両者の影響を同時に含む解析は行われておらず、計算結果は報告されていた実験の測定結果を満足に再現することができていなかった。そこで本研究では、修正ルンゲ・クッタ法を用いて空間モード・ウォークオフ・パルス波形・群速度差・2光子吸収・逆変換過程の効果を取り込んだ光パラメトリック過程を記述する非線形伝搬方程式の数値解析を実施した。これにより実験で得られた測定結果を計算にて正確に再現することを初めて可能にし、入出力特性、変換効率への群速度差やウォークオフの影響、空間モード特性、パルス幅のナローイング効果、群速度差やウォークオフの補償法等についての解明を行い、誘導パラメトリック発光の特性が生じる起源を明らかにすることができた。